・国内FXと申告方法は違うの?
・具体的な申告方法は?
・節税対策はあるの?
・確定申告しなかった場合は?
もしかすると、この記事を見つけたあなたは、海外FXの確定申告方法について知りたいとお思なのではないでしょうか。
もちろん、海外FXでも一定収入を超えると誰でも確定申告が必要になり、忘れてしまうと最悪「脱税」に問われる可能性も高くあります。
また、海外FXと国内FXは税制上の違いがあるため申告方法を理解しておかないと後々、確定申告の時期になって慌てることになるかもしれません。
そのため、この記事では海外FXと国内FXの税制の違いや確定申告方法、節税対策方法などについて詳しく説明しています。
最後まで読めば、海外FXの確定申告で失敗しない申告手順や節税ポイントなど詳しく理解できるでしょう。
※この記事では日本国内での税制に関して説明しています。海外に在住している方に関しては税制の扱いが違う場合があるので注意が必要です。
目次
1. 海外FXと国内FXとの税制の違いを一覧で比較
海外FX | 国内FX | |
所得区分 | 雑所得 | 雑所得 |
税制度 | 総合課税 | 申告分離課税 |
税率 | 累進課税 | 一律20%(20.315%) |
損益繰越(損失控除) | 不可 | 3年間の繰越が可能 |
損益通算 | 雑所得の総合課税同士のみ可能 | 雑所得の申告分離課税同士のみ可能 |
申告が必要な金額 | ・給与所得者:年間利益が20万円以上 ・非給与所得者:年間利益が38万円以上 |
・給与所得者:年間利益が20万円以上 ・非給与所得者:年間利益が38万円以上 |
※国内FXの税率は2037年まで復興特別所得税が加算されるため実質20.315%となっています。
海外FXの税制は国内FXと違い、3つの特徴があります。
- 税制度が「総合課税」
- 税率が「累進課税」
- 「損益繰越」が不可
そのため、海外FXの確定申告方法は国内FXとは異なるため確認しておく必要があるでしょう。
海外FX税金の特徴1:税制度が総合課税
総合課税とは、給与所得や事業所得、不動産所得など他の所得と合算して税額を算出する方法です。
そのため、海外FXでの収益は他の所得金額と合計して税額を計算する必要があります。
一方、国内FXでは申告分離課税制度という他の所得とは別に分けて税額を算出する方法となっています。
サラリーマンやアルバイトなど給与所得者の場合、毎月受け取る給料から税金分が差し引かれる「源泉徴収」を受けている場合が多いでしょう。
総合課税では給与とFXの純利益を合算して税金を支払う必要がありますが、給与で源泉徴収を支払っている場合は海外FXの利益分のみの申告だけ行えば大丈夫です。
源泉徴収を引かれているのにもかかわらず、給与も海外FXと合算して税金の二重支払いを行わないように気をつけましょう。
海外FX税金の特徴2:税率が累進課税
年間利益 | 税率 | 控除額 |
195万以下 | 15%(所得税5%+住民税10%) | 0円 |
195万~330万 | 20%(所得税10%+住民税10%) | 97,500円 |
330万~695万 | 30%(所得税20%+住民税10%) | 427,500円 |
695万~900万 | 33%(所得税23%+住民税10%) | 636,000円 |
900万~1800万 | 43%(所得税33%+住民税10%) | 1,536,000円 |
1800万~4000万 | 50%(所得税40%+住民税10%) | 2,796,000円 |
4000万以上 | 55%(所得税45%+住民税10%) | 4,796,000円 |
国内FXでは税率が一律20%となっていますが、海外FXでは「累進課税」なので、年間利益に応じて税率が変わります。
海外FXでは195万円以下であれば国内FXよりも税率は低いですが、稼げば稼ぐほど税率が上がってしまう事が国内FXよりも不利な点です。
年間利益が195万円以上の場合は、控除も受けられるため控除額を差し引いた金額で申告を行いましょう。
海外FX税金の特徴3:損益繰越(損失控除)が不可
損益繰越とは、年間で控除しきれない損失を受けた際に、次年の確定申告の際に損失を繰越することができる制度です。
例えば、FXで利益30万円、損失100万円という結果となった場合、−70万円の損失が残ります。
国内FXでは損益繰越が3年間可能なため、−70万円の損失を次年度に繰り越すことが可能。
例えば次年、国内FXでの純利益が150万円だった場合は、前年の−70万円の損失を繰越できるため、
- 150万円(今年の利益) − 70万円(前年の損失)=80万円
という計算になり、次年度の確定申告は80万円で計上することができます。
しかし、総合課税である海外FXは、損益決算が1年で完結してしまうので損益繰越が不可能。
そのため損失を受けた分の控除を受けることはできないので、大きな損失は取り返せないリスクにもなります。
2. 海外FXは年間利益が一定金額を超えると確定申告が必要
海外FXは年間利益が一定金額を超えると確定申告の必要があります。
サラリーマンやアルバイトなどの給与所得者の場合は、海外FXでの年間利益が20万円を超えると確定申告が必要。
一方、専業主婦や学生、自営業などの非給与所得者の場合は、海外FXでの年間利益が38万円を超えると確定申告が必要になります。
給与所得者・非給与所得者で確定申告すべき金額に違いがあるので注意。
サラリーマン、専業主婦、学生、どんな方でも一定金額を越えれば、毎年3月15日まで確定申告を忘れずに行いましょう。
2-1. 年間利益は損益通算から算出
海外FXでの利益は「総合課税の雑所得」に分類されます。
総合課税の雑所得の場合、利益は一年間のFX取引での利益と損失を相殺した「純利益」の金額が年間利益となります。
例えば、海外FXでの年間利益が150万円で損失が70万円だった場合、
- 150万円(利益) − 80万円(損失) = 80万円(純利益)
損益通算で80万円の金額が課税対象となります。
そのため、利益が確定申告金額よりも大きい場合でも、損益通算で金額を下回る場合もあるので注意して計算しましょう。
中には、海外FXと国内FXの両者を利用するトレーダーもいると思われます。
しかし、国内と海外では税制度が違うので両者を統合して確定申告することはできません。
そのため、海外FXと国内FXで得た純利益は別々で損益通算する必要があります。
例えば、海外FXでの純利益が100万円、国内FXでの純利益が−120万だった場合でも、損益通算ができないので海外FXは100万円の純利益で確定申告する必要があります。
国内FXと海外FXは分けて損益通算することをしっかり心得ておきましょう。
3. 海外FXで確定申告する場合は白色・青色どちらかを選択
海外FXの純利益が一定金額を超えた場合、税務署または市役所で確定申告を行いましょう。
確定申告には主に白色申告・青色申告の2種類の方法があります。
簡単に説明すると、白色申告は簡単な帳簿と領収証などで比較的容易に確定申告できる方法です。
一方、青色申告は申請書の送付や帳簿書類の保管など面倒な手間がかかりますが、特別控除が備わっている特徴があります。
3-1. 白色申告の特徴
白色申告は開業届を出さなくてもできる申告方法。
白色申告の特徴としては、簡単な帳簿づけと請求書や経費となる領収証などさえあれば、比較的容易に申告書類を作成できる点です。
そのため、確定申告に慣れていない方やそこまで利益が大きくない方にとっては、手軽に行えることがメリット。
しかし、白色申告では青色申告にある特別控除が備わっていません。
なので、特に利益の大きい方に関しては青色申告で特別控除を狙ったほうが節税になるでしょう。
3-2. 青色申告の特徴
青色申告は簿記や申請書の提出など面倒な手続きが必要になりますが、特別控除が受けられる申告方法です。
例えば、特別控除で20万円以上の所得税・住民税が安くなる場合や。最大65万円の控除を受けられる場合も。
しかし、青色申告を行いたい場合には税務署へ行き「開業届」提出。さらに開業届を提出した2ヶ月以内に「青色申告承認申請書」も提出する必要があります。
また、複式簿記の知識や帳簿書類の保管などが必要になるため、白色申告よりも知識や面倒な手間がかかってしまいます。
特に、FXでの利益が大きい方は節税対策として取り組んでみることがオススメです。
4. 海外FXの確定申告で有効な3つの節税対策
- 海外FXの確定申告はかかった経費を差し引いた金額から
- 海外FXは「雑所得の総合課税同士」であれば損益通算可能
- 節税対策のために控除制度を確認
海外FXの確定申告は国内業者に比べ税率が高くなることもよくあります。
そのため、少しでも税額を減らすために3つの節税対策ポイントを紹介します。
特に、年間利益が多い方は税額も50%近くになってしまうため、できるだけ節税することをオススメします。
4-1. 海外FXの確定申告はかかった経費を差し引いた金額から
海外FXの確定申告は、必要経費としてかかった金額を差し引くことができます。
例えば、
- FXに関する書籍
- FX関連の有料セミナー
- 取引でかかった手数料
- 有料ソフトやツール代
- パソコンやディスプレイ代
など、FX取引関係するもので経費として数えられるものは課税対象額から差し引くことが可能。
しかし、パソコンやディスプレイなどプライベートでも使用するものに関しては、仕事とプライベートで使用する割合で経費計上する「按分計算」が必要となるため、全額を経費計上できない場合もあります。
FX取引でかかった経費は領収証を確定申告まで保管しておきましょう。
4-2. 海外FXは「雑所得の総合課税同士」であれば損益通算可能
海外FXは国内FXとの損益通算は不可能です。
しかし、バイナリーオプションやアフィリエイト、せどりなど、海外FXと同じ「雑所得の総合課税」該当するものであれば損益通算することができます。
なので、仮に海外FX取引以外で損失を受けた場合、海外FXと損益通算することで節税することも可能です。
例えば、
- 海外FX取引で100万円の利益
- バイナリーオプションで50万円の損失
だった場合には、損益通算することで課税対象が50万円になります。
そのため、仮に大きな損失を受けた場合でも「雑所得の総合課税」であれば損益通算で損益を相殺し、節税できる場合もあるので日頃から損益計算を行っておきましょう。
4-3. 節税対策のために控除制度を確認
海外FXの節税対策として、社会保険料や寄附金控除など節税として利用できる場合もあります。
例えば、
- 社会保険料
- 医療費控除
- 住宅ローン控除
- 還付申告
- iDeco(個人確定拠出年金)
- ふるさと納税(寄附金控除)
など、該当する控除があれば節税対策になるのでしっかり確認しましょう。
特に最近では、iDeco(個人確定拠出年金)が注目されており、老後の資産形成に興味がある方であれば節税対策の一環として取り組むこともオススメです。
また、ふるさと納税も税金控除に加え返礼品も受け取ることができるためお得な節税対策となるでしょう。
5. 確定申告を怠れば「脱税」で逮捕される可能性も
海外FXの確定申告を怠ったら場合、附帯税が課せられる可能性もあります。
- 延滞税(2.6〜8.9%)
- 過少申告加算税(10%)
- 不納付加算税(10%)
- 無申告加算税(10〜15%)
- 重加算税(35〜40%)
附帯税には、期間内に確定申告を行わなかった場合に発生する延滞税から、意図的な脱税や隠蔽などを行った場合に課せられる重加算税まで様々なものがあります。
仮に確定申告をしなかった場合には「無申告加算税」と呼ばれ、50万円までの金額であれば10%、50万円以上の金額15%もの割合を支払う必要も。
最悪、重課税に問われてしまうと40%もの支払いが命じられる他、脱税容疑で逮捕されてしまう可能性もあります。
海外FXは特に海外からの送金になるため、脱税が発覚しやすいと言えるでしょう。
いくら節税対策を行っても附帯税が発生してしまえば元も子もないので、確定申告はしっかり期限内に正しく行いましょう。
まとめ|申告漏れがないようにもう一度確定申告の流れを確認しよう
- step1確定申告の有無を確認
- 給与所得者の場合:年間利益が20万円以上
- 非給与所得者の場合:年間利益が38万円以上
給与所得者・非給与所得者それぞれの年間利益に合わせた確定申告の有無を確認しましょう。
- step2確定申告方法を選択
確定申告が必要になれば、白色・青色どちらかの申告方法を選びましょう。
白色申告は簡単な帳簿づけと請求書や経費となる領収証などさえあれば、比較的容易に申告可能。
一方、青色申告は届出や詳細な帳簿など面倒な手続きが必要になりますが、特別控除が受けられます。
自身の状況に合わせて申告方法を選択しましょう。
- step3損益通算で純利益を導く
確定申告が必要な場合は申告金額を計算する必要があるので、まず損益通算を行います。
海外FXは総合課税に分類されるので給与所得や事業所得、不動産所得などの所得と合算します。
仮に、海外FX以外に「総合課税の雑所得」がある場合は合算して損益通算することができます。
合算した損益通算から純利益を導きましょう。
- step4必要経費を計算する
次に、海外FXの取引でかかった必要経費を計算します。
純利益から経費を差し引いた金額が、課税対象になります。
- step5税額を確認
年間利益 税率 控除額 195万以下 15%(所得税5%+住民税10%) 0円 195万~330万 20%(所得税10%+住民税10%) 97,500円 330万~695万 30%(所得税20%+住民税10%) 427,500円 695万~900万 33%(所得税23%+住民税10%) 636,000円 900万~1800万 43%(所得税33%+住民税10%) 1,536,000円 1800万~4000万 50%(所得税40%+住民税10%) 2,796,000円 4000万以上 55%(所得税45%+住民税10%) 4,796,000円 海外FXの税額は累進課税になります。
純利益から必要経費を差し引いた課税対象額の税率と控除額を調べましょう。
- step6課税金額を算出する
純利益、経費、税率、控除、それぞれの確認ができたら課税金額を計算します。
仮に、以下のような条件としましょう。
・会社員としての給与が年収400万円
・海外FXの年間収益が150万円
・バイナリーオプションが20万円の損失
・FXの必要経費10万円上記の場合計算は、
- 400万円+150万円−20万−10万円=520万円
となり520万円が課税対象になります。
520万円の場合、累進課税は30%、控除金額は427,500円となるので、
- 5,200,000円 × 30% − 427,500円 = 1,132,500円
課税額は1,132,500円となります。
- step7期限内に申告
確定申告方法、課税額の算出が完了したら、2月16日〜3月15日までに税務署もしくは市役所で申告を済ませましょう。
もし、期間内に申告できなかった場合や無申告だった場合は附帯税が課せられるので注意しましょう。
また、確定申告を怠れば最悪、脱税容疑で逮捕される場合もあります。
海外FXは国際送金になるため税務署からもバレやすいので、必ず申告を行いましょう。
この記事を最後まで読んだあなたが、国内FXと海外FXの税制の違いや確定申告方法を理解し、期限内にミスなく申告することができれば幸いです。
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